PingOne のデータのPostgreSQL インターフェース

SQL Gateway およびPingOne ODBC Driver を使用して、データアクセス用のPostgreSQL エントリポイントを作成。

古川えりか
コンテンツスペシャリスト

最終更新日:2022-10-19

こんにちは!ドライバー周りのヘルプドキュメントを担当している古川です。

インターネット上には膨大な数のPostgreSQL クライアントが存在します。標準ドライバーからBI、Analytics ツールまで、PostgreSQL はデータアクセス用の一般的なインターフェースです。 ODBC Drivers に含まれるSQL Gateway を使用することで、どの標準クライアントからでも接続が可能なPostgreSQL エントリポイントを作成することができるようになります。

Windows でPostgreSQL データベースとしてPingOne のデータにアクセスするには、CData SQL Gateway およびODBC Driver for PingOne、EnterpriseDB のMySQL 外部データラッパーを使用します。この記事では、外部データラッパーをVisual Studio でコンパイルして拡張機能としてインストールし、PostgreSQL Server からPingOne のデータをクエリします。

CData ODBC ドライバとは?

CData ODBC ドライバは、以下のような特徴を持ったリアルタイムデータ連携ソリューションです。

  1. PingOne をはじめとする、CRM、MA、会計ツールなど多様なカテゴリの270種類以上のSaaS / オンプレミスデータソースに対応
  2. 多様なアプリケーション、ツールにPingOne のデータを連携
  3. ノーコードでの手軽な接続設定
  4. 標準 SQL での柔軟なデータ読み込み・書き込み

CData ODBC ドライバでは、1.データソースとしてPingOne の接続を設定、2.PostgreSQL 側でODBC Driver との接続を設定、という2つのステップだけでデータソースに接続できます。以下に具体的な設定手順を説明します。

CData ODBC ドライバのインストールとPingOne への接続設定

まずは、本記事右側のサイドバーからPingOne ODBC Driver の無償トライアルをダウンロード・インストールしてください。30日間無償で、製品版の全機能が使用できます。

接続プロパティが未設定の場合は、まずデータソースのODBC DSN で設定します。これはドライバーインストール時の最後の手順にあたります。Microsoft ODBC データソースアドミニストレーターを使ってODBC DSN を作成および設定できます。

PingOne に接続するには以下のプロパティを設定します。

  • Region:自身のPingOne 組織のデータがホスティングされている地域。
  • AuthScheme:PingOne に接続する際に使用する認証の種類。
  • WorkerAppEnvironmentId (デフォルトのPingOne ドメインを使用する場合に必要)、またはAuthorizationServerURL のいずれかで、下で説明するように設定します。

WorkerAppEnvironmentId の設定

WorkerAppEnvironmentId は、Worker アプリケーションが存在するPingOne 環境のID です。 このパラメータは、環境がデフォルトのPingOne ドメイン(auth.pingone)を利用している場合のみ使用されます。 これは、ヘルプドキュメントカスタムOAuth アプリケーションの作成で説明するように、PingOne への認証に使用するカスタムOAuth アプリケーションを作成した後に設定します。

はじめに、このプロパティの値を見つけます。

  1. 自身のPingOne 組織のホームページからナビゲーションサイドバーに移動し、Environments をクリックします。
  2. OAuth / Worker のカスタムアプリケーションを作成した環境(通常はAdministrators)を見つけ、Manage Environment をクリックします。 環境のホームページが表示されます。
  3. 環境のホームページのナビゲーションサイドバーで、Applications をクリックします。
  4. リストから、OAuth またはWorker アプリケーションの詳細を見つけます。
  5. Environment ID フィールドの値をコピーします。 以下の例に似たものになるはずです:
    WorkerAppEnvironmentId='11e96fc7-aa4d-4a60-8196-9acf91424eca'

次に、WorkerAppEnvironmentIdEnvironment ID フィールドの値に設定します。

AuthorizationServerURL の設定

AuthorizationServerURL は、お使いのアプリケーションが配置されている環境のPingOne 認可サーバーのベースURL です。 このプロパティは、PingOne プラットフォームAPI ドキュメントで説明されているように、環境にカスタムドメインを設定した場合にのみ使用されます。 Custom Domains を参照してください。

OAuth でのPingOne への認証

PingOne はOAuth とOAuthClient 認証の両方をサポートしています。 上述の設定手順に加え、OAuth またはOAuthCliet 認証をサポートするために、さらに2つの手順を完了する必要があります。

  • ヘルプドキュメントカスタムOAuth アプリケーションの作成で説明するように、カスタムOAuth アプリケーションを作成して設定します。
  • ドライバーがデータモデル内のエンティティにアクセスできるようにするには、ヘルプドキュメントのAdministrator Roles での説明のとおり、使用するアドミンユーザー / ワーカーアプリケーションに対して正しいロールを設定していることを確認してください。
  • 以下のサブセクションで説明されているように、選択した認証スキームと認証フローに適切なプロパティを設定します。

OAuth(認可コードグラント)

AuthSchemeOAuth に設定します。

デスクトップアプリケーション

OAuth アクセストークンの取得およびリフレッシュ

以下を設定して、接続してください。

  • InitiateOAuthGETANDREFRESH。繰り返しOAuth の交換を行ったり、手動でOAuthAccessToken を設定する必要をなくすには、InitiateOAuth を使用します。
  • OAuthClientId:カスタムOAuth アプリケーションを作成した際に取得したClient ID。
  • OAuthClientSecret:カスタムOAuth アプリケーションを作成した際に取得したClient Secret。
  • CallbackURL:カスタムOAuth アプリケーションの登録時に定義したリダイレクトURI。例:https://localhost:3333

接続すると、本製品 はデフォルトブラウザでPingOne のOAuth エンドポイントを開きます。ログインして、アプリケーションにアクセス許可を与えます。 ドライバーはこれでOAuth プロセスを完了します。

  1. ドライバーはPingOne からアクセストークンを取得し、それを使ってデータをリクエストします。
  2. OAuth 値はOAuthSettingsLocation で指定された場所に保存され、接続間で永続化されるようにします。

ドライバーはアクセストークンの期限が切れると自動的にリフレッシュします。

Web アプリケーションやヘッドレスマシン、クライアントクレデンシャルグラントを含むその他のOAuth メソッドについては、ヘルプドキュメントを参照してください。

リモートサービスを開始する

MySQL リモートサービスは、クライアントからのMySQL 接続の受信を待機するデーモンプロセスです。CData SQL Gateway でMySQL リモートサービスを構成するには、SQL Gateway の概要にあるセットアップガイド を参照してください。

MySQL 外部データラッパーを構築する

外部データラッパー(FDW)は、PostgreSQL を再コンパイルすることなく拡張機能としてインストールできます。Unix ベースのシステムでPostgreSQL を実行している場合、PostgreSQL Extension Network(PGXN)を使用してFDW(mysql_fdw)をインストールできます。Windows でPostgreSQL を実行している場合は、拡張機能をコンパイルして最新バージョンを使用していることを確認してください。以下のステップに従って、Visual Studio から拡張機能を構築するのに必要な編集を行います。

前提条件を取得する

外部データラッパーを構築するために、以下を行います。

  • PostgreSQL をインストールします。この例では、インストールにPostgreSQL 9.4 を使用します。
  • PostgreSQL の64 ビットインストールを使用している場合、PostgreSQL ソースからlibintl.h を取得します。64 ビットのPostgreSQL インストーラーは、現時点ではlibintl.h を含みません。
  • mysql_fdw 外部データラッパーへのソースを、EnterpriseDB から取得します。
  • MySQL Connector C をインストールします。この例では、MySQL Connector C 6.1 を使用します。

プロジェクトを構成する

必要なソフトウェアとソースコードを取得したら、Visual Studio で拡張機能をコンパイルする準備ができました。以下のステップに従い、mysql_fdw ソースを使用してプロジェクトを作成します。

  1. Visual Studio で、新しい空のC++ プロジェクトを作成します。
  2. Solution Explorer において、「Source Files」を右クリックし、「Add」->「Existing Item」をクリックします。ファイルエクスプローラーで、mysql_fdw からすべての.c ファイルと.h ファイルを選択します。

以下のステップに従ってプロジェクトを構成します。

  1. 64 ビットシステム用に構成するには、「Build」->「Configuration Manager」とクリックし、「Active Solution Platform」で「x64」を選択します。
  2. プロジェクトを右クリックして「Properties」をクリックします。
  3. 「Configuration」メニューで「All Configurations」を選択します。
  4. 「Configuration Properties」->「General」->「Configuration Type」と進み、「Dynamic Library」を選択します。
  5. 「Configuration Properties」->「C/C++」->「Code Generation」->「Enable C++ Exceptions」と進み、「No」を選択します。
  6. 「Configuration Properties」->「C/C++」->「Advanced」->「Compile As」と進み、「Compile as C Code」を選択します。
  7. 「Linker」->「Manifest File」->「Generate Manifest」と進み、「No」をクリックします。

以下のステップに従って必要な依存関係を追加します。

  1. 「Linker」->「Input」->「Additional Dependencies」と進み、「Edit」を選択して以下を入力します。 postgres.lib libmysql.lib WS2_32.lib Secur32.lib さらに、「Inherit From Parent」または「Project Defaults」がチェックされていることを確認します。
  2. 「Linker」->「General」->「Additional Library Directories」と進み、「Edit」を選択してPostgreSQL インストールのlib フォルダへのパスを追加します。
  3. 「Linker」->「General」->「Link Library Dependencies」と進み、「No」を選択します。
  4. プロジェクトの構成を完了するために必要なものを追加します。 「C/C++」->「General」->「Additional Include Directories」と進み、フォルダを次の順で追加します。 MyMySQLConnectorCInstallation\include MyPostgreSQLInstallation\MyPostgreSQLVersion\include\server\port\win32_msvc MyPostgreSQLInstallation\MyPostgreSQLVersion\include\server\port\win32 MyPostgreSQLInstallation\MyPostgreSQLVersion\include\server MyPostgreSQLInstallation\MyPostgreSQLVersion\include

Windows 用にmysql_fdw を構成する

プロジェクトを設定したら、Visual Studio でmysql_fdw を構築するために以下の変更を加えます。

  1. mysql_fdw.c で以下の定義を追加します。 #define dlsym(lib, name) (void*)GetProcAddress((HMODULE)lib, name) #define dlopen(libname, unused) LoadLibraryEx(libname, NULL, 0)
  2. mysql_load_library の定義で、以下の行を削除します。 mysql_dll_handle = dlopen(_MYSQL_LIBNAME, RTLD_LAZY | RTLD_DEEPBIND);
  3. mysql_load_library の定義に次の行を追加して、Windows ビルド用のmysql_dll_handle の割り当てを置き換えます。 mysql_dll_handle = dlopen("libmysql.dll", 0);
  4. mysql_fdw_handler 関数を呼び出す前に__declspec(dllexport)キーワードを付けてDLL から関数をエクスポートします。 __declspec(dllexport) extern Datum mysql_fdw_handler(PG_FUNCTION_ARGS);
  5. option.c でmysql_fdw_validator 関数の宣言に__declspec(dllexport)キーワードを追加して、DLL から関数をエクスポートします。 __declspec(dllexport) extern Datum mysql_fdw_validator(PG_FUNCTION_ARGS);

これで、Release 構成とビルドを選択できるようになりました。

拡張機能をインストールする

DLL をコンパイルしたら次のステップに従って拡張機能をインストールします。

  1. MySQL Connector C のlib フォルダへのパスをPostgreSQL を実行しているマシンのPATH 環境変数に追加します。
  2. プロジェクトのRelease フォルダからPostgreSQL インストールのlib サブフォルダにDLL をコピーします。
  3. mysql_fdw csource ファイルを含むフォルダで、myswl_fdw--1.0.sql とmysql_fdw.control を、PostgreSQL インストールの共有フォルダの下にある拡張フォルダにコピーします。例:C:\Program Files\PostgreSQL\9.4\share\extension.

PostgreSQL データベースとしてPingOne のデータをクエリする

拡張機能をインストールしたら、次のステップに従ってPingOne のデータへのクエリの実行を開始します。

  1. PostgreSQL データベースにログインします。例: C:\> psql -U postgres
  2. データベースの拡張機能をロードします。 postgres=#CREATE EXTENSION mysql_fdw;
  3. PingOne のデータのサーバーオブジェクトを作成します。 postgres=# CREATE SERVER PingOne FOREIGN DATA WRAPPER mysql_fdw OPTIONS (host '127.0.0.1', port '3306');
  4. MySQL リモートサービスが認識しているユーザーのユーザー名とパスワードにユーザーマッピングを作成します。以下は、サービスのサンプル構成におけるユーザーの資格情報です。 postgres=# CREATE USER MAPPING for postgres SERVER PingOne OPTIONS (username 'admin', password 'test');
  5. ローカルスキーマを作成します。 postgres=# CREATE SCHEMA PingOne_db;
  6. 定義したPingOne のデータベースですべてのテーブルをインポートします。 postgres=# IMPORT FOREIGN SCHEMA "CData PingOne Sys" FROM SERVER PingOne INTO PingOne_db;

これで、PingOne へのSELECT コマンドを実行することができるようになりました。

postgres=# SELECT * FROM PingOne_db."[cdata].[administrators].users";

PingOne からPostgreSQL へのデータ連携には、ぜひCData ODBC ドライバをご利用ください

このようにCData ODBC ドライバと併用することで、270を超えるSaaS、NoSQL データをコーディングなしで扱うことができます。30日の無償評価版が利用できますので、ぜひ自社で使っているクラウドサービスやNoSQL と合わせて活用してみてください。

CData ODBC ドライバは日本のユーザー向けに、UI の日本語化、ドキュメントの日本語化、日本語でのテクニカルサポートを提供しています。

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